【事故当日にやるべきこと】
■事故に遭ったらその場で必ず110番をして警察を呼ぶ
当たり前のことですが、ちょっとした傷の物損事故であっても、
後でトラブルの原因にならないために、必ず警察へ事故の届け出をしましょう。
できれば自分から「警察に連絡しますね」と言って電話をします。
たとえ加害者に「警察を呼ばないで」と言われても、
被害者の当然の権利として毅然とした態度で110番をします。
逆に自分が加害者になった場合も同じです。
警察なしで個人で賠償の交渉をすると、
後で被害者から多額の不当請求をされる恐れもあります。
そもそも交通事故が発生しているのに「警察を呼ばないで」なんて言う人は、
普段の運転や示談などにおいても不誠実であることが多いのです。
警察へ連絡するときには、事故日時、場所、事故の概要、ケガ人の数や状況などを聞かれます。
警察が来たら、再度状況説明をして、車検証、自賠責保険証、免許証を提示します。
■相手の車のナンバーを早めにメモしておく
警察へ電話する前でも、警察待ちの間でもかまいませんので、
早めに相手の車のナンバーを何気なく控えておいた方が安心です。
警察が来る前に逃げられる可能性もあります。
交通事故ではメモを取ることが多いため、
車のダッシュボードやバッグにあらかじめ筆記用具を用意しておきましょう。
■相手の名前と連絡の取れる電話番号を教え合う
事故後は示談まで交渉が必要になります。
お互い損害保険に加入していれば、それぞれの損害保険会社が示談交渉をしてくれますが、
場合によっては直接相手に連絡しなければならないこともあります。
加害者・被害者という立場上、正直言って個人情報を教えるのは抵抗がありますが、
自分の保険会社へ相手の連絡先を伝えなければならないため、
仕方がありませんが名前と電話番号は少なくとも交換しておきましょう。
電話番号は2か所以上(自宅と携帯、自宅と会社など)聞いておくと安心です。
■担当の警察署の連絡先を聞いておく
警察が帰る前に、今回の交通事故の担当の警察署を聞いておきましょう。
電話番号も聞いておいて、担当の係(交通事故係だと思いますが)もメモしておきます。
自分で事故証明書を発行したい場合や、人身扱いの届け出をしたい場合に、
この連絡先が必要になってきます。
■損害保険会社へ電話をする
警察が帰った後でもかまいませんので、
早めに損害保険会社へ電話をしておきましょう。
その際には事故日時、場所、警察署名、事故の概要、相手の名前と電話番号を聞かれます。
■修理工場へ電話をする
自分の車が壊れている場合は、修理工場へ修理予約を入れます。
事故後も車が必要で、修理を先送りにしたくなる場合もありますが、
「これは確実に今回の事故による傷」と証明するためにも、
そして走行することでさらに車を悪化させないためにも、
ここは諦めて、すぐに車を修理に出した方が良いです。
しばらくは我慢して電車、バス、タクシーを利用しましょう。
普段から車がないと困る生活をしている方は、
あらかじめ損害保険の代車特約に入っておくべきです。
【後日やるべきこと】
■現場へ戻って標識や防犯カメラの有無を確認する
自分の損害保険会社の担当者も、過失割合などを交渉するために、
現場へ見に行ってくれたりします。
しかし担当者の方が気付かないような交渉のネタがあるかもしれません。
少しでも自分の過失割合が減るような要素を見つけにいくことをオススメします。
自分と相手の走行していた道路の法定速度、
右折禁止、一時停止、進入禁止などの標識は必ずチェックしておきます。
道路の幅や車線数なども把握しておくと交渉しやすくなります。
また、現場近くの施設や店舗に、防犯カメラがないかを問い合わせてみましょう。
事故を撮影した記録が残っていれば、有力な証拠になります。
■少しでも痛みがあれば早めに病院へ行く
事故発生後、警察を呼ぶ時にケガ人がいなくても、
事故の翌日以降に身体に痛みを感じることがよくあります。特にぶつけられた側。
そのときは整形外科などの病院へ遠慮なく行きましょう。
病院へ行く前に、自分の損害保険会社へ通院する旨を伝えておくと、
あらかじめその病院へ連絡をしてくれて、医療費や薬代を立て替えてくれることがあります。
健康保険が使えないと1回の受診で数万円とかすごい額になりますので。
そして、事故前の身体に比べて少しでも違和感があるのであれば、
完全に治癒するまで通院を続けるという強い意志を持ってください
(治癒できず症状固定で後遺障害となった場合は、後で慰謝料を請求できます)。
少しでも痛みがあるなら堂々と受診をしましょう。
通院を遠慮して、後から障害が出てしまった場合、
その後の人生で困るのは、医者でもなく保険会社でもなく相手でもなく、
自分と自分の家族です。
■1回でも通院したら人身事故へ切り替える手続きをする
事故当時は車同士の物損事故扱いで警察へ届け出た場合、
自分や相手が事故が原因による怪我で1回でも通院をしたら、
警察へ人身扱いの届け出をします。
人身事故へ切り替えると、加害者は行政処分され、当然免許の点数も減ります。
そのため加害者側はなんとか人身事故へ切り替えないようにと、
あの手この手で交渉をしてくることがあります。
相手の損害保険会社も「届け出なくても最後まで医療費を保証する」と言ってきたりします。
しかしその言葉に騙されてはいけません。
たとえ全治3日の打撲だけであっても1回通院したら、
それは立派な人身事故です。
交通事故に遭っているのですから、自分に後遺障害が今後一切出ないとは限りません。
ここは毅然とした態度で当然の権利として、人身事故に切り替えましょう。
もし相手がどうしても実況見分に立ち会うのを拒否する場合には、
担当の警察署の交通事故係へ相談します。
最悪の場合、警察から相手へ強制的に出頭させることができます。
実況見分は、自分と相手で都合を合わせて担当の警察署へ出向き、
事故当時の状況、自分および相手が気を付けるべきであった点、
加害者の減点や罰金などの処罰を警察に任せるか、
軽減を希望するか等を話します(要予約)。
その後、加害者は現場へ行って現場検証に立ち会います。
双方の状況説明がかみ合わない場合は、
被害者も一緒に現場検証に立ち会うことになります。
実況見分の際の持ち物は、警察署によっても異なると思いますが、
通院している病院の診断書(被害者のみ)、車検証、自賠責保険証、免許証、
破損した車(修理済みの場合は破損状況がわかる写真(修理工場で撮影してある))、
印鑑(シャチハタ不可)です。
事故当時を思い出すのはとても辛いことですし、
加害者の顔なんて見たくもないと思うかもしれませんが、
自分の身体を守るために、半日だけ我慢して事実を改めて説明しましょう。
■損害保険会社の言いなりにならず上手く利用する
損害保険会社は100%自分を助けてくれるわけではありません。
あくまでも営利のための会社です。
ですから、できるかぎり安い金額だけしか保証しないように、うまく言ってきます。
相手の損害保険会社との慣れ合いも当然ありますので、
極端なケースでない限り、過失割合を100:0にすることはしません。
過失割合に納得できない場合は、過失割合の根拠となる判例の書類を
見せて説明をしてもらうようにしてください。
損害保険会社に対しては感情的になって敵に回すことのないように、
うまく利用するだけ利用しましょう。
■人身保障は自賠責基準で保障させない
通院しているのに、警察へ人身扱いで届け出ない場合は、
医療費、慰謝料などが「自賠責基準」で支払われます。
この「自賠責基準」というのは、最低額の保障制度です。
医療費などが120万円までしかかからなければ、自賠責基準だけで保障されます。
120万円を超えた場合は、警察へ人身扱いの届け出をしないと、
損害保険会社の「任意基準」の保障が補てんされません。
必ず人身扱いの届け出をしておきましょう。
■決定的な証拠は検察庁から取り寄せる
示談交渉がどうしてもうまくいかない場合の多くは、
相手が「ちゃんと左右確認した」「一時停止を怠ってない」等、
口から出まかせを言ってくることにあります。
相手の保険会社もきちんとした証拠がないと、
示談に取り合ってくれません。
しかし相手が自分の過失であることを、
警察には認めて供述していることがあるので(警察の方は厳しいですから)、
警察での相手の調書を入手して、決定的な証拠として示談に利用しましょう。
実況見分後、検察庁へ書類を送ったかどうか担当の警察署へ問い合わせをします。
書類の送付日、送った検察庁の名前と電話番号、検察庁での受理番号(件番号)の
3つを担当の警察署に聞いて、検察庁へ関係書類を入手する方法を問い合わせます。
■市民相談を多いに利用する
交通事故は一生に一度、あるかないかのことです。
判例など、理解できなくて当然です。
自分を少しでも有利な立場に置きたいのでしたら、
お住まいの自治体にある市民相談(交通事故相談)を利用しましょう。
交通事故相談では、加害者、被害者両方の立場を平等に見て、
的確に分かりやすく悩みを解消してくれます。
私も相談員さんと納得いくまでお話しをさせていただいて、かなり救われました。
今回、私はさまざまな知識を得て動くことができたのは、
この市民相談のおかげです。
自分の自治体の市民相談の問い合わせ先を知りたい場合は、
「市民相談 横浜市」などのキーワードでネット検索してみましょう。
市民相談は無料です。
【今からできる泣き寝入りをしないための対策】
■任意の損害保険には必ず加入しておく
保険料は高いのですが、当たり前ですがこれは必ず入っておくべきです。
そしてゆとりがあれば、交渉の実力のある損害保険会社を選びましょう。
保険料の安さだけで選ぶと、示談交渉のときにほとんど自分が動くことになります。
私はディーラーで勧められた、保険料の決して安くない損害保険会社に加入していましたが、
担当がとても頼りない若い女性で苦労しました。
もし運悪く私の時ように実力のない担当者に当たってしまった場合は、
遠慮なく担当者を変えてもらうべきだと思います。
それができないようであれば、本社のお客様相談室へ苦情を入れてでも、
担当者を変えてもらってください。
■弁護士特約を必ずつける
損害保険の弁護士特約は付けておくべきだったと私は後悔しました。
今回これがなかったから、裁判ができず、
過失割合を0:100に持っていくことができませんでした。
弁護士特約は年間で1,200円程度だそうですので、
万が一のことを思えば、次回からは、
1年で1,200円の安心料を支払っておきたいと思いました。
■個人賠償(日常生活)特約を必ずつける
交通事故相談員さんに言われたのですが、
特にお子さんがいる場合は、
損害保険の個人賠償(日常生活)特約を付けるべきだそうです。
子どもが自転車でお年寄りをはねてしまうケースが多いらしく、
お年寄りは少しの接触でも骨折し、治りも遅いため、
1回の事故で300万円の医療費を請求されたという相談もあるそうです。
自転車の強制保険、学校で加入している保険、コープ保険でも補償をしてくれるそうですが、
この場合は自分で示談をしなければならないのが大変らしいのです。
損害保険会社は国から強制的にこの個人賠償特約をするように言われていて、
損害保険会社はこの示談をする義務があるそうです。
しかし損害保険会社からすれば、個人賠償特約は一番儲からない、
割りに合わない特約なので、決して顧客には勧めてはきません。
心配な方は、損害保険の更新時に見積もりを出してもらって検討してみることを、
オススメします。